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——「宇治川先陣争い」は、平安時代末期・元暦元年(1184年)に実際にあった戦の一場面です。
源頼朝の命を受けた源義経の軍と、木曽義仲軍が激突する中、義仲方は宇治橋を落とし、義経軍は激流の宇治川を馬で渡らねばならない窮地に立たされました。
この局面で、「誰が最初に川を渡るか」をめぐり、ふたりの若き武将が名乗りを上げます。
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—— 先陣を争ったのは、佐々木高綱と梶原景季。
彼らは、かつて名馬「生月(いけづき)」をめぐって争った因縁があり、今またこの難所で、白馬「生月」と黒馬「磨墨(するすみ)」を駆って並び立ちました。
ふたりは競うように川へと飛び込み、激しい流れの中で先を争います。
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—— 川の中ほどまで進んだ時、佐々木が先行する梶原に声をかけます。
「腹帯が緩んでいるぞ(落馬するぞ)」
咄嗟に腹帯を確認した梶原の一瞬の隙を突き、佐々木は馬に拍車をかけ、見事先陣の誉れを手にしました。
ただの勝負話ではない、「知恵」と「機微」
この逸話は、勝負強さや知略として語られるだけでなく、もっと深い寓意を内包しています。
信義と駆け引きの境界、咄嗟の判断が命運を分ける緊張感──。
佐々木の行動には、「ただ真っ直ぐ進むだけでは生き残れない」という、戦場を生き抜く現実的な知恵が凝縮されています。
これは、現代社会を生きる私たちにとっても共通するテーマといえるでしょう。
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—— いわき絵のぼりでは、この「追い抜きの瞬間」を描き、馬上の駆け引きと激流の迫力を躍動的に表現しています。
この図柄は、勝負運・出世運だけでなく、
「冷静さと知恵をもって自分の道を切り拓く力」を象徴しており、古来より節句幟で盛んに描かれてきました。
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—— この場面は単なる武勇譚ではありません。
「信頼とは何か」「一瞬の判断がもたらす結果」「競争と共存のバランス」といった、現代にも通じる深い問いを静かに投げかけます。
この逸話は、節句飾りとしてだけでなく、
人生における決断や挑戦の象徴として、多くの人々の共感を得てきたのではないでしょか。
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時代背景 —— 平安時代末期(元暦元年・1184年) |
登場人物 —— 佐々木高綱(白馬「生月」)、梶原景季(黒馬「磨墨」) |
願意 —— 勝負運、出世運、機転、知恵、人生の勝機をつかむ力 |
教訓性 —— 誠実さと駆け引き、社会における生き抜き方、瞬時の判断力の重要性 |
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いわき絵のぼり吉田 絵師辰昇
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「絵幟の歴史を堪能出来る空間でした。鍾馗幟旗は生で見ると迫力がヤバかったです。生で見なきゃもったいないです!」