〒971-8182 いわき市泉町滝尻字根ノ町73
江戸文化を今に伝える、いわき絵のぼりの希少性 |
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1.武家から始まった端午の節句の絵のぼり端午の節句といえば、一般的には鯉のぼりです。しかしひと昔前までは、武家発祥の「武者絵のぼり(五月幟のぼり)」のほうが全国的に主流でした。 2.いわき絵のぼり歴史と特徴〜江戸文化が地方で残存した希少例「いわき絵のぼり」とは、福島県いわき市内で一定の手法により制作された肉筆の武者のぼりで、平成9年に福島県指定伝統的工芸品に認定されました。これは「江戸文化が地方で残存した希少例」と再評価されています。 絵師個人の息遣いと力量がダイレクトに反映される、江戸の絵師文化そのものです。 3.地域ごとの多彩な呼び方(武者のぼり・武者絵幟・矢旗・節句のぼり・五月幟)*武者絵のぼりとは、端午節句に男児成長祈願の絵を描いたこの風習は、地域や時代によっては異なる呼び名で知られています。 例)武者のぼり、節句のぼり、矢旗、五月幟。 |
いわき地方の絵のぼりの定着 |
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1.藩主 内藤義概〜文化振興の推進者江戸から明治時代にかけては、全国各地で絵のぼりが飾られました。 しかし、この地域において、文化振興を促進したのは、磐城平藩第三代藩主の内藤義概(1619-1685)でした。 彼は、音楽家の八橋検校を招聘し、幕府御用絵師の狩野常信とも親交を深めた、風雅な人物でした。2.絵のぼりによる町の彩りを推奨天和3年(1683年)7月19日、藩主は「端午節句には、絵のぼりで町を華やかに彩るよう」に御触れを発布しました。 この藩主による絵のぼりの推奨は、全国的にも珍しい事例で、地域に多くの絵師が育成されるきっかけとなりました。参考:磐城の幟の歴史と現況 佐藤孝徳著 |
いわき絵のぼりの、明治から戦前の飾り方 |
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1.絵のぼりの飾り方の変遷明治から大正にかけて、絵のぼりの数を誇る風潮があり、ひとつの家で数十本の絵のぼりを立てることが一般的でした。 その後、大正から昭和初期にかけて、大型サイズの絵のぼりが流行。 しかし戦時中には物資が不足し、絵のぼりの生地は布団などに再利用されることもありました。 |
「小旗」から「いわき絵のぼり」へ |
昭和初期まで、いわき市内では絵のぼりを「小旗」と呼んでいました。
しかし、昭和30年代に祖母しずえが全国放送のTV番組に出演したことをきっかけに、「いわき絵のぼり」という呼び名が広まりました。
この変化によって、「いわき絵のぼり」はいわき市を代表する伝統工芸品として親しまれるようになりました。 その経緯は以下のページへ。 |
いわき絵のぼりの特徴 |
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左:明治のいわき絵のぼり(絵画的)。 |
1.伝統工芸品としての特徴「いわき絵のぼり」は、昔ながらの絵具を使い、刷毛や筆で木綿に描く伝統工芸品です。 その特徴は、
2.手描き顔料染め〜絵画的ないわき絵のぼり「手描き顔料染め」とは、顔料という粉状絵具を絵画的仕上がりで、特徴は「鮮やかな発色で色あせに強い」「雨が苦手」。 いっぽう「染料染め絵のぼり」は、輪郭線が白くデザイン的仕上がり。 特徴は「雨に強い」「色あせしやすい」。 |
いわき絵のぼりの画風 |
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1.時代による絵の変遷と切磋琢磨いわき絵のぼりの画風は、江戸時代に狩野派風から浮世絵風へと変化しました。 そして明治中期には画家による指導もあり、切磋琢磨の時代となりました。 大和絵の大家、小堀鞆音が、いわき絵のぼりの出来栄えに驚いたそうです。2.絵師による画風の違い私の曽祖父辰治は、線描などが狩野派的な画風でした。 一方、祖母しずえは浮世絵をベースとした民画を得意としていました。 私の画風は、曽祖父寄りの影響を受けています。 |
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曽祖父辰治の鍾馗 |
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祖母しずえの鍾馗 |
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辰昇の鍾馗 初節句を彩る「いわき絵のぼり」の紹介動画です。これまでにお客様から寄せられた貴重な写真の数々、初節句の勇壮な雰囲気をご覧ください。 |
-関連ブログ記事:「いわき市の伝統工芸・いわき絵のぼり|江戸時代の内藤義概が育んだ地域の歴史と文化」ぜひご覧ください。 |
この記事の執筆者:いわき絵のぼり吉田の絵師
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手描き武者のぼり「いわき絵のぼり吉田」。福島県指定伝統的工芸品。 |
[伝統的な屋外庭飾り]
五月の空を勇壮に彩る、人生の門出にふさわしい「旗印」です。 福島県指定伝統的工芸品 |
初節句を彩る「いわき絵のぼり」の紹介動画です。
— いわき絵のぼり絵師 辰昇 (@enoborishinsho) March 23, 2024
これまでにお客様から寄せられた貴重な写真の数々、初節句の勇壮な雰囲気をご覧ください。#いわき絵のぼり #初節句 #こどもの日 pic.twitter.com/b5MEGGyTq7
いわきFCの巨大な応援幕の原画として、いわき絵のぼりの鍾馗(しょうき)様を描かせていただきました。
— いわき絵のぼり絵師 辰昇 (@enoborishinsho) October 26, 2024
端午節句の邪気払いの神様。元は戦国大名の本多忠勝や前田利家が合戦の「旗印」に描き、魔除けの守り神として篤く信仰しました。#いわきFC#ハワイアンズスタジアムいわき#鍾馗 pic.twitter.com/fnBmn81Y9z
新刊『ときめくニッポン職人図鑑』をご恵贈いただきました。
— いわき絵のぼり絵師 辰昇 (@enoborishinsho) November 11, 2024
光栄にも当工房「いわき絵のぼり吉田」も掲載して頂きました!
日本各地の職人さん31人がイラストで紹介される素敵な図鑑をぜひご覧下さい。
ニッポン手仕事図鑑 @NipponTeshigoto
大牧圭吾 @by_waterman
オークラ出版 @oakla_official pic.twitter.com/hb3asZuHuA
以前納めさせて頂いた「スサノオ様」と一対になる、鎮守氷川神社さまの主祭神「クシナダヒメ様」です。#鎮守氷川神社#埼玉県川口市#御朱印めぐり pic.twitter.com/e5XctQ86lB
— いわき絵のぼり絵師 辰昇 (@enoborishinsho) November 29, 2024
【いわき絵のぼり|昇り龍制作工程】
— いわき絵のぼり絵師 辰昇 (@enoborishinsho) February 12, 2025
端午の節句に飾る「いわき絵のぼり」の制作を進めています。
こちらは、「昇り龍」の動画。木綿の生地に刷毛と薄墨を使い、ぼかしを入れながらを描いていく工程の一部をまとめたもの。
一筆ずつ、大切に仕上げていきます。#いわき絵のぼり #初節句 #こどもの日 pic.twitter.com/FU23e7uh25
投稿が遅くなってしまいましたが、
— 北彩養鯉 (@irodori_koinbr) April 15, 2024
先日いわき絵幟の辰昇先生の工房見学をさせていただきました。お忙しい中有難う御座いました。
絵幟の歴史を堪能出来る空間でした。
中でもやっぱり先生の作る鍾馗幟旗は生で見ると迫力がヤバかったです。
生で見なきゃもったいないです!
→続く@ pic.twitter.com/Xiqx2eWxw1