——「熊に金太郎(くまきん)」は、江戸時代から節句の絵のぼりとして親しまれてきた伝統的な図柄です。
熊に無邪気に取っ組み合う金太郎の姿には、「健やかに、力強く育ってほしい」という親の願いが込められています。端午の節句における定番の絵柄のひとつとして、現代でも根強い人気を誇っています。
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—— 金太郎のモデルは、平安時代の武士・坂田公時(生没年不詳)と伝えられています。
彼は、源頼光(みなもとのよりみつ、948–1021)に仕えた「頼光四天王」の一人で、鬼退治の伝説で知られる「酒呑童子(しゅてんどうじ)討伐」に参加したとされる人物です。
「怪童丸(かいどうまる)」という幼名で登場することもあり、子供の頃から桁外れの怪力の持ち主だったという逸話が残されています。
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—— 江戸時代に入ると、坂田公時を題材とした浄瑠璃や絵本などが盛んに制作され、その中で公時の幼少期を描く「金太郎」のキャラクターが生まれました。
この金太郎は、腕白で動物と仲良く遊ぶような愛嬌ある存在として描かれ、たちまち庶民の人気を集めます。
次第に、勇壮な武将としての公時よりも、子供時代の金太郎のほうが有名になり、節句の絵柄にも定着していきました。
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—— 熊と取っ組み合う金太郎の姿は、「身体堅固(しんたいけんご)」──すなわち健康で丈夫に育つことを象徴しています。
また、将来立派な人物に成長するようにという「立身出世」への願いも込められています。
さらに、金太郎が赤い肌で描かれることが多いのは、江戸時代の風習に由来します。
当時、「朱」は疱瘡(ほうそう)除けの色とされ、病気除けや魔除けとして信じられていました。
金太郎もその一例として、赤く描かれるようになったのです。
こうした色彩にも、子を守ろうとする親の願いが反映されています。
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—— 金太郎には、山姥(やまんば)と雷神との間に生まれたという神秘的な出生伝説もあります。
山の精霊的存在である山姥と、天の力を象徴する雷神との子として語られたことで、金太郎は自然の力と結びつく超常的な存在と見なされてきました。
その流れを受けて、金太郎が手にする「まさかり」には、しばしば雷の意匠や装飾が施されるようになります。
これは、まさかり自体が「雷神の力の象徴」として描かれるようになったことを示しています。
単なる武器ではなく、天の力を帯びた神秘的な象徴として、金太郎の背景を物語る重要なアイテムといえるでしょう。
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いわき絵のぼり吉田 絵師辰昇
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