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——「十牛図(じゅうぎゅうず)」とは、禅における悟りの道筋を十の段階に分け、
それぞれを絵と詩で表現した古典的な教えです。
その第六段階にあたるのが「騎牛帰家図(きぎゅうきかず)」──
牛に乗って、家路をたどる童子の姿を描いた場面です。
この構図は、節句の絵のぼりとして描かれる機会は少なく、
現代においては極めて珍しい主題といえるでしょう。
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—— 十牛図において「童子」は、迷いや不安を抱える“現在の自己”、
「牛」は、理想や本質に目覚めた“悟りの自己”を象徴しています。
牛を探し、見つけ、乗りこなすまでの過程を経て、
この「騎牛帰家」の段階では、もはや牛を制御する必要もなく、
童子は悠々と笛を吹きながら、自然体のまま帰路についています。
それは、執着から離れ、自己を自在に生きる境地。
つまり、「自由な心」「豊かな人生」を手にした人間の姿なのです。
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—— 江戸時代後期には、庶民的な感性でこの構図を取り入れた絵のぼりが存在します。
それらは、子どもが人生をのびやかに歩み、心の豊かさを得られるようにという願いをこめて飾られていました。
絵のぼり文化が、単なる装飾ではなく、家庭の精神的な祈りや教育の一端を担っていたことがうかがえます。
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—— 禅画「十牛図」は、今を生きる私たちにとっても、
人生を見つめ直すうえで大きな示唆を与えてくれます。
特に「騎牛帰家」は、子どもの健やかな成長を願うだけでなく、
その先の“心の自由”や“成熟した人生”への祈りを託す図柄ともいえるでしょう。
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いわき絵のぼり吉田 絵師辰昇
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「絵幟の歴史を堪能出来る空間でした。鍾馗幟旗は生で見ると迫力がヤバかったです。生で見なきゃもったいないです!」