いわきの伝統を、現代のスタジアムに立つ旗印へ
1|いわきの伝統を象徴する鍾馗を、スタジアムへ
―― この応援幕は、いわきFCサポーターの皆さんから「鍾馗を描いてほしい」というご依頼を受けて制作しました。
鍾馗は、魔除けや厄除けの願いを託す図像として、いわき絵のぼりでも古くから描き継がれてきた代表的な画題です。
現在も地域に残る絵のぼりなどを通して、いわきの伝統を象徴する図像の一つとなっています。
その鍾馗を、選手の健闘と勝利を願うサッカーの応援幕として掲げる。
そこには、地域に受け継がれてきた図像を、現在のいわきの中で新たに用いる意味があります。
大勢の人が同じ場に集まり、思いを共有するスタジアムに立つ「旗印」として、鍾馗の姿を構成しました。
2|木綿地に手描きした、応援幕の原画
―― 応援幕の原画は、約170×70cmの木綿地に、墨を主体として一筆ずつ手描きで制作しました。
大型の応援幕へ展開されることを踏まえ、鍾馗の表情や姿勢、衣の流れ、全身のシルエットなど、離れた位置から見たときにも人物の力が伝わるよう画面を構成しています。
完成した原画は看板制作業者へ渡り、縦約3mの大型応援幕として仕上げられました。
3|サッカーボールを模した宝珠
―― 鍾馗の足元には、サッカーボールを模した宝珠を配しています。
宝珠は古くから願いを託す象徴として表されてきたものです。その形にサッカーボールの意匠を重ねることで、鍾馗という伝統的な図像の中へ、いわきFCの応援幕としての意味を組み込みました。
鍾馗はその宝珠をしっかりと押さえ、前方を見据える姿で描いています。
選手の健闘と勝利を願うサポーターの思いを、人物の姿と画面構成の中に表しました。
4|スタジアムに掲げられる、現代の旗印
―― 完成した鍾馗図は大型の応援幕となり、いわきFCのホームゲームで実際に掲げられています。
大勢のサポーターが集まり、選手の健闘と勝利を願うスタジアムでは、大きな応援幕もまた、人々の思いを目に見える形で示す「旗印」となります。
絵のぼりや祭礼の絵では、その場に集う人々の願いや、その土地に受け継がれてきた意味を、掲げる図像として表してきました。
今回の仕事にも、そうした祭礼絵画の考え方と通じるものがあります。
場の意味を読み取り、そこで実際に用いられる絵として形にする――。いわきの伝統図像である鍾馗が、現代のスポーツの場で新たな役割を持った制作事例となりました。
5|応援幕から、その後の展開へ
―― この鍾馗の応援幕は、その後、地元紙『いわき民報』でもご紹介いただきました。
また、いわきFCサポーター「ARMOURS」の皆さんによって鍾馗図がTシャツへ展開されるなど、スタジアムに掲げる応援幕から、別の形へと図像の使用が広がっています。
一枚の原画から生まれた鍾馗の姿が、応援の場で用いられ、地域の中でさまざまな形へ展開していることも、この制作の一つの特徴となっています。
制作|辰昇(絵のぼり絵師)
福島県いわき市
エブリア|鍾馗大幟
商業施設展示用として、縦4.5m×横3mにて制作。
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鎮守氷川神社|奉納大幟 制作
御祭神の図像を、奉納大幟や御朱印原画へ継続して展開した制作実績。
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滝尻棒ささら|奉納幟 制作
地域に受け継がれる棒ささらの祭礼に掲げる奉納幟。
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応援幕・大幟・祭礼の幕絵など、人の集まる場に掲げる図像について、用途や設置場所、その土地や団体に受け継がれてきた背景を踏まえて原画を制作いたします。
地域や団体を象徴する「旗印」となる図像や、大型幕などへ展開するための手描き原画についてもご相談ください。