—— 本ページでは、手描き絵のぼりを制作する工房の立場から、
手描きと印刷仕立ての違いを整理しています。
制作方法や仕上がり、誂え方、修繕など、それぞれに異なる特徴があります。
用途や大切にしたい点に合わせて選ぶ際の参考としてご覧ください。

・手描き武者のぼり
木綿などの布に、職人が筆や刷毛で直接描いて制作します。
肉筆や筒描など、日本画や染色につながる技法を用い、
一枚ずつ仕上げられます。
筆致や色の重なりには一枚ごとの違いが生まれ、
図柄や構図を依頼内容に応じて調整できることも特徴です。
・印刷仕立て武者のぼり
デジタルデータをもとに、
インクジェットや昇華転写などで出力されます。
同じ図柄を均一に再現しやすく、
複数制作や既製品としての展開にも適しています。
仕様や図柄変更への対応範囲は、
商品や制作方法によって異なります。
※本ページの比較は、教育目的の一般的な整理です。
特定のメーカーや商品を評価するものではありません。
—— 印刷仕立て(量産)と本手描きは、
遠目には似て見えることもありますが、
制作の工程や成り立ちは大きく異なります。
| 手描き | 印刷仕立て | |
|---|---|---|
| 制作方法 | 筆や刷毛で布に直接描く | データをもとに印刷する |
| 制作単位 | 一枚ずつ制作 | 同一データを再現しやすい |
| 仕上がり | 筆致や色の重なりに一枚ごとの違いが生まれる | 均一な仕上がりを得やすい |
| 図柄・調整 | 構図や表現を依頼内容に応じて調整できる | データ上で調整する。対応範囲は商品・制作方法による |
| 修繕 | 状態に応じて補彩・加筆などが可能 | 劣化時は交換・再制作が一般的 |
| 制作の特徴 | 手仕事の工程そのものが一枚に残る | 複製性と均一性に特徴がある |
節句の一枚を長く受け継ぐことや、
家紋・図柄・構図まで含めて誂えることを大切にする場合は、
手描きが選択肢の一つとなります。
同じ図柄を安定して再現することや、
既製品としての選びやすさを重視する場合は、
印刷仕立ても選択肢となります。
価格や納期、仕様変更への対応範囲はそれぞれ異なるため、
用途やご家庭の考え方に合わせて確認することが大切です。
▼本手描き絵のぼりを制作している様子
手描きと印刷仕立ては、
遠目には似た武者のぼりに見える場合でも、
制作方法や一枚の成り立ちには違いがあります。
手描きには、一枚ずつ描く筆致や誂え、
修繕しながら受け継いでいける特徴があります。
印刷仕立てには、
均一に再現しやすく、既製品として選びやすい特徴があります。
当工房では手描きの絵のぼりを制作しております。
それぞれの特徴を知ったうえで、
用途や大切にしたい点に合わせてお選びいただければと思います。
文・辰昇|絵のぼり絵師
福島県いわき市
Q. 印刷仕立てを節句に飾る場合、それも「伝統」といえますか?
A. 印刷仕立てそのものは、
伝統工芸としての手描き制作とは異なります。
ただし、端午の節句という伝統風習の中で用いられる道具の一つであり、
現在の形でその風習を支えているものと考えることができます。
Q. 手描きの武者のぼりは、屋外で色あせませんか?
A. 屋外で長く飾れば、
紫外線や雨風の影響で、少しずつ退色や傷みが出ることがあります。
ただ、状態によっては補彩や加筆などの修繕を行うこともできます。
飾り方や保管の仕方によって状態は変わりますが、
数世代にわたり大切に受け継がれてきた例もあります。
松重豊さん出演「福島豊」Youtubeシリーズにて、
絵のぼり工房として紹介されています。
工房訪問回および絵のぼりのお披露目回です。
人の集まるハレの場を象徴する、ユーモラスな「旗印」として。
松重豊さんが工房へ(第7話)
絵のぼりお披露目(第8話)