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手描き武者のぼり|いわき絵のぼり吉田 絵師・辰昇

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無銘|熊谷直実図幟
——江戸後期〜明治初期、筒描きに残る武者絵の躍動

熊谷直実図幟(アップ)

男児の初節句を告げる、庭先の武者絵

熊谷直実図幟(全景)
  • 題名:熊谷直実図幟 ※非売品
  • 時代:江戸後期〜明治初期
  • 産地:不詳
  • 作者:無銘
  • 素材:麻
  • 技法:筒描き
  • 寸法:約450×約63cm
  • 所蔵:いわき絵のぼり吉田

—— 男児の誕生を神に知らせ、健やかな成長を願って掲げられた節句幟。

本作は染師の筒描きによる武者絵・熊谷直実で、庭先に高く翻ることを前提に設計された一旒です。


浮世絵に学ぶ設計——見開く眼、舞台的ポーズ

熊谷直実図幟(浮世絵に学んだ画風)

—— 見開いた眼や誇張された身振りには、歌舞伎と結びつきの強い鳥居派系の画風が想起されます。

当時広く親しまれた浮世絵版画を図様の見本として参照し、幟の縦長画面に最適化している点が注目されます。


筒描きの白線設計——軽やかな線で面を裁つ

—— 筒描きは、防染糊で輪郭線を引き、染まらない「白」を線として残す染色法。

太い白線で色面を分ける作例が多いなか、本作はきわめて細い白線で面を切り、のびやかな余白感と軽やかさを獲得しています。

経年でパステルトーン気味に退色した色調が魅力です。


制作年代を読む視点

熊谷直実図幟(全景別角度)

—— 幟の年代判別では、手織幅の生地を二枚つなぎにした中央縫いの有無や素材の目付け、染料の風合いが手がかりになります。

とくに明治〜大正以前は着物幅(30数cm)基準の生地が一般的で、幟幅を得るためにつないで用いる例が多く見られます。

本作も素材・技法・図様の総合から、江戸後期〜明治初期の仕事と位置づけられます。

いわき絵のぼり吉田・絵師 辰昇(しんしょう)


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