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手描き武者のぼり|いわき絵のぼり吉田 絵師・辰昇

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無銘|鍾馗図幟(江戸後期)
——「実用絵画」としての絵のぼり/文化の地層をいまに読み解く

無銘の鍾馗図幟(江戸後期)

作品データ(基本情報)

  • 題名:鍾馗図幟 ※非売品
  • 時代:江戸後期
  • 産地:不明
  • 作者:無銘
  • 素材:絹
  • 技法:肉筆(墨画)
  • 寸法:約93×約65cm
  • 所蔵:いわき絵のぼり吉田

江戸の「厄除け」を担った素朴な図像

鍾馗図幟(部分)

—— 本作は、絹地に墨で描かれた鍾馗(しょうき)像の幟です。
鍾馗は 疫病除け・学業成就の守護として広く信じられ、端午の節句や町場の祈りの場で掲げられました。
本作は江戸時代の神社で用いられていたとも伝え聞きます。

署名はなく作者不詳ですが、生活の中で機能する「実用絵画」として用いられた幟ならではの、 端正すぎない筆致の中に、手向けの心と祈りの熱が息づいています。

いわゆる名工の作だけでなく、地域の人々が自ら描いた例も少なくありません。
素朴であっても、 見飽きない魅力があるのは、暮らしと信仰に密着した用の美の現れと言えるでしょう。


古布流通に残る「スタンプ」の痕跡

古布スタンプの痕跡

—— 江戸期の絵のぼりには、外国風のスタンプが押された個体が稀に見られます。
これは、近代以降に古布として再流通した際の管理印・仕分け印と考えられ、 時に布地として転用され市場に出た痕跡でもあります。

優れた幟にも押印例が確認され、 その過程で多くの作例が散逸した可能性も否定できません。

だからこそ、こうした素朴な一幅にも、暮らしの手触り地域信仰の記憶が確かに宿ります。

過去の生活の証言として適切に保存し、「文化の還元」——学びを未来へ返す営みにつなげていきたいと考えています。

いわき絵のぼり吉田・絵師 辰昇 (しんしょう)


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工房をご見学いただいた方の投稿より(@irodori_koinbr 様):

「絵幟の歴史を堪能出来る空間でした。鍾馗幟旗は生で見ると迫力がヤバかったです。生で見なきゃもったいないです!」

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