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手描き武者のぼり|いわき絵のぼり吉田 絵師・辰昇

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無銘|神功皇后図幟(筒描き)
——江戸後期、豪華な染色幟に込めた安産・武運の祈り

神功皇后図幟(筒描き) アップ

江戸後期の筒描き幟と、祈りのかたち

神功皇后図幟 全体(筒描き)
  • 題名:神功皇后図幟 ※非売品
  • 時代:江戸後期
  • 産地:不詳
  • 作者:無銘(紺屋)
  • 素材:木綿
  • 技法:筒描き
  • 寸法:約820×約75cm
  • 所蔵:いわき絵のぼり吉田

—— 神功皇后は、八幡神として崇敬される応神天皇の生母。
親子の健やかさ、安産、武運長久の象徴として、端午の節句に最も親しまれた画題のひとつでした。

本作は、染物職人(紺屋)による豪華な筒描きの幟。町や村の家々が祈りをかたちにした、生活の美術です。


染めで描く:筒描きという贅

神功皇后図幟(筒描き) ディテール02

—— 筒描きは、輪郭線を白く残しながら染め分ける染色技法。

大画面を設計→防染→染色→水洗と段階的に仕上げるため手間と熟練を要し、
現在の感覚で換算すると、時間と費用のかかった「友禅的な大画面表現」と言えます。

そのため、当時本作を飾ったのは、武家・商家・豪農など、家格と余裕のある家だったと推測されます。


安産・武運を託す、節句の人気画題

神功皇后図幟(筒描き) ディテール03

—— 応神天皇(八幡信仰)との結びつきから、神功皇后図は江戸期の節句幟で広く選ばれました。

家の願いを背に空へ翻る――その実用と信仰の交差が、画題の強さを今に伝えます。


使い継がれた痕跡も、歴史の一部

神功皇后図幟(筒描き) ディテール04 退色と補筆

—— 本作には、藍の退色や後年の手補筆が確認できます。

とりわけ黒の加筆に拙い箇所も見られますが、幟が長く飾られ、祈りに用いられた痕跡として尊重したい要素です。

生活の現場をくぐり抜けた古作ならではの記憶が、画面に滲んでいます。

いわき絵のぼり吉田・絵師 辰昇(しんしょう)


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