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手描き武者のぼり|いわき絵のぼり吉田 絵師・辰昇

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滝尻棒ささら図|祭礼武者絵旗 制作事例
——祭りの格式を支える本手描きの旗印(絵のぼり)

制作のポイント:
・江戸時代から続く「棒ささら」の長い歴史と迫力がひと目で伝わる図像に。
・写真・動画・紙面などに映えるよう、図像の視線誘導や余白の取り方、重心の配置まで細かく設計しています。

滝尻棒ささら図(旗印・全体)
・滝尻棒ささら図 / 辰昇作 木綿に肉筆 約180×約90cm

制作の背景と目的——滝尻棒ささらを旗印で伝える

—— 福島県いわき市泉町滝尻地区には、江戸時代から続く伝統芸能「滝尻棒ささら」があり、毎年9月に町内で奉納演武が行われます。

その場面に掲げる祭礼用の絵のぼり(旗印)として、武者絵の技法を用い、芸能の力強さと伝統の重みを一枚に表現しました。

課題:伝統芸能の象徴となる図像をつくり、継承への気持ちを高めたい

工夫:江戸時代の伝統画風で、象徴となる新作の図像を創出

成果:奉納列の“顔”として定着し、御朱印や広報物にも展開

滝尻棒ささら図(部分)
滝尻棒ささらの旗指物は、地元神社の御朱印の絵柄として様々に頒布されています
・図像の利用例/神社の御朱印として頒布

滝尻棒ささら(ササラ)由来

滝尻棒ささら由来イメージ

—— この棒術は、戦国時代の剣豪・塚原卜伝の高弟・吉田氏が、滝尻村の農民に護身術として伝えたのが始まりとされます。

その技は地域に根付き、滝尻を起点にいわきの各地域へと受け継がれていきました。

題字の書・拡大転写

のぼり旗の文字は、地元・泉町の泉書写書道教室、上遠野智先生の書をもとに制作しました。

先生の筆文字を旗のサイズに合わせて拡大し、丁寧に書き入れています。

構図の設計意図──現場で機能する「旗印」のために

—— この旗印は、祭礼現場での使用を前提に、視認性と印象の強さを重視して構図を設計しました。


  • 視線誘導:棒の円弧と刃の直線が交わる一点に視線が自然と集まるよう描写
  • 間合い(余白):主題周囲に余白を設け、離れて見ても判読しやすく
  • 季節と安定感:背景に満月を配し、秋らしさと画面の重心を安定化
  • 遠距離からの視認性:シルエットを象徴的に設計し、10〜20m離れてもシンボリックに見えるよう工夫
両者の力の流れが画面内で拮抗するような設計
・両者の力の流れが画面内で拮抗するような設計
二人の目線、交差する武具(棒と刀)、そして動きの焦点が一点に収束
・焦点が一点で交差

奉納当日の様子|諏訪八幡神社 2019年9月15日(日)

—— 2019年9月15日(日)、制作した絵のぼりが初披露されました。

夏の名残を感じる晴天のもと、諏訪八幡神社では「滝尻棒ささら」12演目が奉納され、保存会と青年会によるお囃子・棒術・獅子舞が披露されました。

地域の伝統が力強く息づく一日となりました。

本祭:毎年9月第二日曜日
場所:諏訪八幡神社 (いわき市泉町) ほか町内各所

奉納当日(全景)
奉納当日(全景)
花棒 相半棒
子供棒術を花棒とよびます。こちらは花棒の相半棒。
花棒 相薙刀
花棒の相薙刀
相六尺
相六尺。児童が頑張ったあとは大人の棒術が始まり、いっそう迫力が増します。
相白刃
相白刃
背負投
背負投。(背負い投げの瞬間が撮れず残念)
時雨
時雨
水引
水引
素鎌
素鎌
相薙刀(大人)
相薙刀
山陰
山陰。演目が後半になるにしたがい、躍動感ある棒術に。
天狗倒
天狗倒
手付
手付
山田
山田
十本続
十本続
獅子舞 奉納
棒術のあと、五穀豊穣を願う獅子舞が神に奉納され、高揚感ある余韻を残しながら祭りは終了。
三匹獅子舞
三匹獅子舞

剣聖塚原卜伝の息吹を今につたえる、希少な伝統芸能です。

旗印は「使う」ことで生きる──実用絵画としての継承

—— 本作品は、木綿地に顔料で描いた手描きの原画です。

「使うことで生きる絵画」という思想のもと、原画を大切に扱いながら、文化の継承と実用の美の両立を目指しています。

江戸の絵のぼり研究を、実用の旗印へ

—— 江戸時代の絵のぼりを独自に収集・研究し、比率・余白・重心といった知見を現代の制作設計に活かしています。

  • 伝統への敬意:筆致のニュアンスなど、古典の流儀を継承
  • 現代に共鳴する美:視認性・印象の強さを最適化した、今に生きる新作
  • 絵のぼりは、文化と場をつなぐ「祭礼絵画」。
    祭りの現場を、格式と実装の両面から支えます。

Q. なぜ「設計」が大切なのですか?

絵のぼりは、美しさだけでなく「伝える」役割を担います。

遠くからでも意味が伝わり、写真や動画に美しく収まり、記憶に残る──そのためには構図・余白・視線誘導などの設計が不可欠です。

設計のない図像は、場に埋もれ、印象に残りません。

Q. 常時掲出や悪天候でも使えますか?

絵のぼりは、儀礼や奉納など短時間の掲出を前提とした手描きの原画です。

防炎・耐候処理は施しておらず、強風・雨・高湿などの環境では掲出をお控えください。

文化を宿す布作品として、丁寧な取り扱いをお願いします。

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